オリッシーとは
チョウコとトゥリバンギ
オリッシーでは、チョウコとトゥリバンギという2つの基本ポーズを中心にステップが出来ています。チョウコの”コ”は日本語にはない音で、「カ」と「コ」を合わせたような発音です。
両足の間を足ひとつ分あけ、180度に開き、そのまま膝を曲げて姿勢を低くする。(両足の間の幅は、昔より狭くなってきています)
手は肩の高さに横に一直線に伸ばし、ひじから先を90度に前に折る。指先は揃え、手の平はピンと張ったまま下に向ける(パタカ)。
トゥリバンギとは、3ヶ所曲がっているという意味。
絵のように左足を軸足にした場合、重心は左足におき、右足でステップを踏む。トルソ(胴の部分)は右に折れ、首は左に倒す。よって、首、臀(腰)部、膝の3ヶ所が曲がることになる。
※スタイルによって、足の置く位置、手の置き方など多少違いがあります。
両ポーズとも、右足でステップを踏んだら、トルソは左、首と目は右に動くというのが基本。踊りの中ではMudra(ムドゥラ)と呼ばれる手の型が加わります。
それ以外にも、足・首・目の動きにも色々な種類があり、それぞれに名前がついています。
全身、休む場所なく神経を行き渡らせるのが古典舞踊の真骨頂。楽な姿勢はほとんどありません。
ピュアダンスとアビナヤ
オリッシーの演目には、ピュアダンス(純粋舞踊)とよばれるものと、アビナヤとよばれるものがあります。
ピュアダンス
チョウコとトゥリバンギを基にしたステップを、いくつもつなげて作ったストーリー性のない曲のことです。
最初はゆっくりのスピードで始まり、クライマックスにむけて徐々にステップが複雑で早くなっていくように作られています。
アビナヤ
手話のように手の形でいろいろなものや感情を表現し、それに表情の変化を加えることで、ひとつの物語を形作っていく演目をいいます。
多くはヒンドゥー教の神話から由来するもので、世界的に有名な物語「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」、クリシュナとラーダの物語「ギータ・ゴヴィンダ」から引用されることが多いです。
意外なのは、ヴィシュヌ神の10の化身のうちの一人であるという「仏陀」の物語の演目もあることです。
オリッシー・アイテムの分類
オリッシーの演目は、5つのカテゴリーに分類されます。
1 Mangalacharan(マンガラチャラン)
2 Sthayee(スタイ)・Batu(バットゥ)
3 Pallvi(パッラビ)
4 Abhinaya(アビナヤ)
5 Moksha(モクシャ) (最後だけ )
※1… 2 と 5 はそのまま演目名になっています。それ以外はカテゴリーの名前です。
※2… ピュアダンス、 アビナヤ を意味します。
※3… マンガラチャランは1曲の中が5つのパートで構成されていて、純粋なアビナヤとは少し違います。
オリッシーの舞台を構成する場合(特にデビュー舞台であるマンチャプラベッサの時)は、1~5の順番どおりにアイテムを踊っていきます。
イベントなどでダンサーが変わる場合も、最初の曲はマンガラチャランで始まり、最後はモクシャで締めるという構成にすることが多いです。
(ODAの場合、これはきちんと守っていました。)
この順番は人の人生にも例えられていて、
1 は誕生の時(両親は、自分の子がこの世に生を受けたことを喜び、神に感謝する)、
2 は少年期(元気いっぱいで純粋な子供の頃)、
3 は青年期(人間として成熟し始め、つぼみから花開きかける頃)、
4 は中年期(人生の中でいろいろなことを経験し、酸いも甘いも分かってきた頃)、
5 は晩年(モクシャとは解脱という意味)だとも言われています。
オリッシーをやっている方なら、なるほどなぁと思える解釈ではないでしょうか。
オリッシーの衣装とタヒアについて
オリッシーの衣装は通常、オリッサの工芸品「サンバルプリー・サリー」から作られる。
サンバルプリー・サリーとは、オリッサ州のソンプール(元サンバルプール)という場所で職人達によって織られているサリーのこと。
手織りのものは一般のサリーに比べると値段も高い。衣装に使われるサリーは丈夫なものでなければならないこともあり、どんどん高級志向になっている。
コットン、シルクとも衣装に使われるが、シルクの方がステージ栄えする。どちらかというとコットンはグループダンスに使われることが多い。
一枚のサリーから一着分の衣装をテイラーで仕立ててもらう。衣装のデザインは、フロントファン型、ラウンド型、マハリ・スタイルなどがある。
この他、同じくオリッサの工芸品であるシルバーの装飾品(オーナメント)、タヒアと呼ばれる髪飾り、足首にはグングル(片足50個ずつの鈴を紐で編んであるもの)をつける。
シルバーはゴールドと同様、年々相場が上がっているので、一通り揃えるだけでもそれなりのお金がかかるが、銀線細工など凝ったデザインのものを手に入れることができる。シルバーではなく、ホワイトメタルの安価なものを使うこともできる。
■参考画像
・「THE ODISSI DANCE PATH FINDER」